【生徒様の声】30年ぶりのピアノ。亡き母が遺した「指の記憶」
update:2026.06.10

新緑が美しい季節になりましたね。
今月のアンコール通信は、当教室に通う生徒様・Yさんに取材した素敵なお話をお届けします。
「子どもの頃にやめてしまって、もう何十年も弾いていない…」
「大人になってから再開しても、本当に弾けるようになる?」
そんな不安を抱えている方の背中をそっと押してくれる、温かいエピソードです。
厳しかった母のレッスンと、幼稚園での「ストライキ」

今回お話を聞かせてくださったYさんのお母様は、かつて自宅で小さなピアノ教室を開いていました。
「物心つくかつかないかの頃から、母のレッスンが始まりました。でも、お教室の生徒さんには優しいのに、娘の私にはとにかく厳しくて……。失敗するたびに指揮棒のようなもので手をペチン!とされた記憶ばかり(笑)。幼心に理不尽さを感じて、幼稚園の頃に『もう絶対に弾かない!』とストライキを起こしてやめてしまったんです。」
当時はブルグミュラーを弾いていた段階での、早すぎる脱落。
「これで毎日の辛くて単調なレッスンから解放される!」と、当時は嬉しさでいっぱいだったそうです。
しかし、娘がピアノを放棄したことに対するお母様の寂しさや悔しさ、そしてその後、Yさんが気まぐれに鍵盤に触れても一切口出しされなくなった空間には、独特な空気が流れていました。
「あれ?何も言ってこないの?『ここ違う!』って叱らないの?」
逆に不安を覚え、「(ピアノ的には)見捨てられてしまったんだな」という寂しさだけが残ったというYさん。
ピアノを離れた長い時間の中にも、お互いの複雑な感情が、音のないピアノを通して静かに流れていました。
30年ぶりの再開!背中を押してくれたおばの一言

その後、お母様はご主人の事業を手伝うためにピアノ教室を閉じ、忙しい日々の中でピアノを全く弾けないまま、6年前に急逝されました。
Yさんに転機が訪れたのは、お母様が亡くなられた後の遺品整理のとき。
おば様から、驚くべきエピソードを聞かされたのです。
「母が亡くなるわずか一ヶ月前、『私、やっぱりピアノが弾きたいの』とピアノ店へ赴き、グランドピアノを予約しようとしていたそうなんです。それを聞いた瞬間、居ても立ってもいられなくなって……。すぐにピアノの前に座り、母が昔弾いていた曲を弾き始めました」
シャイで、写真や動画をほとんど残さなかったお母様だったそう。だからこそ「少しでも母の思い出に縋りたい、音楽を通して母を感じていたい」という強い思いが、30年以上のブランクを経て、Yさんを再びピアノに向かわせるきっかけとなったのかもしれません。
都会の札幌で出会った♪お気に入りの教室

その後、介護のため札幌へ移住することになったYさん。自己流ではなく、もう一度ちゃんとしたピアノ教室に通いたいと検索を始めます。しかし、都会ゆえに選択肢が多すぎて、どこを選べばいいか迷ってしまったそうです。
そんな中で見つけたのが、当教室『音楽サロン アンコール(encore)』でした。
Yさんが教室選びで譲れなかったポイント
- 駅から徒歩圏内という通いやすさ
- 大手でも珍しい「グランドピアノ2台置き」の環境
「札幌の大手教室でもアップライトピアノが大半の中、グランドピアノ、しかも2台置きという環境は本当に希少だと思い、『ここだ!』と体験レッスンを申し込みました。実際に来てみたら、先生がとにかく明るくて優しくて!『ここなら楽しく続けられそう』とその場で入会を決めました。」
テクニックよりも「思い入れ」。大人のピアノは自由でいい

現在、ご自身のペースでレッスンを楽しまれているYさん。アンコールの『とにかく自由で、弾きたい曲を何でも弾かせてくれるスタイル』が心地よいと言います。
「大人ピアノなので、自分のこれからの時間を考えると、テクニック磨きよりも、自分の思い入れのある好きな曲を弾く時間をなによりも優先したいなと思っています。上達はゆっくりペースですが、長く付き合っていきたいですね。」
そんなYさんのモチベーションになっているのが、定期的に開催される発表会。
「締め切りがないとサボってしまうので、ちょっと自分を追い込むため(笑)。それと、何より発表会の後にある飲み会が最高に楽しくて!これが弾き続ける大きな原動力になっています。」
忘れていたはずの「指の記憶」は、母からの贈り物

最後に、30年以上のブランクを経て再開したYさんが、一番驚いたことを教えてくれました。
「思っていたよりも、指が動いたんです。忘れていたはずなのに、ちゃんと指が覚えていました。幼少期のわずか数年、あんなに厳しかった母のレッスンのおかげだったんだなと、今になって気づかされました。当時は理不尽だなんて思っていましたが、今は亡き母に感謝しかありません。」
Yさん、素敵なエピソードをありがとうございました。
大人になってから再開するピアノには、「音楽への深い愛着」や「大切な人との思い出」が重なり、より豊かな響きが生まれるのだと心に染みました。
大人初心者のためのステップ
- ブランクがあっても大丈夫! 指の記憶や感覚は、意外と体が覚えているものです。
- 大人のレッスンは「好き」を最優先に。 ツェルニーなどの基礎も大切ですが、限られた時間の中で「思い入れのある曲」に挑戦することが長く続く秘訣です。
- モチベーションを保つ仕組みを作る。 発表会などのイベントや、その後の仲間との交流を目標にすると、練習がさらに楽しくなるでしょう。
体験レッスンのご案内
アンコールは、お一人おひとりの「弾きたい」「楽しみたい」という気持ちに寄り添う教室です。
「子どもの頃に習っていたピアノをもう一度…」という気持ちがある方も、これからチャレンジしてみたい方も、まずは贅沢なグランドピアノの響きを体験しに来ませんか?